1992年度(平成4年度)に農林水産省により「グリーン・ツーリズム」という言葉が提唱された。1993年度から2年間に、全国50箇所をモデル地区として指定し、振興を図った。
同省では、グリーン・ツーリズムを、農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動として位置づけている。上記の「滞在型」は「周遊型」に対する概念であり、必ずしも宿泊に限定されるものではない。
根拠法は、「農山漁村余暇法」(または「農村休暇法」ともいう)である。
(正式名称:農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律((平成6年6月29日法律第46号、最終改正平成17年7月26日法律87号(施行:平成18年5月1日))
同法第2条において「余暇活動」の定義を次のように定めている。(山村・漁村についてもほぼ同様なので省略) この法律において「農村滞在型余暇活動」とは、「主として都市の住民が余暇を利用して農村に滞在しつつ行う農作業の体験その他農業に対する理解を深めるための活動をいう。」 としている。
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導入の背景
近年、スローフード、スローライフなど、効率万能、規格量産化に疑問を覚える人が増えている。また、生物の営みとのふれあいが希薄となり、自然と人間のかかわりが縁遠くなってしまった。そのため、グリーンツーリズムに関心が寄せられている。
農山漁村も、地域活性化のため導入を図ろうとしているが、単なる簡易宿泊施設や農産物加工施設など箱物の整備に終わってしまうケースもある。
定着に当たっての課題
グリーンツーリズムが日本において一般的になりにくいのではないかという指摘も少なくない。その要因を整理する。
供給サイドの問題
時間のバリア
そもそも農家や漁家には、受け入れる時間的余裕があるのか。
空間のバリア
家屋がよその人を泊められる構造になっていないのではないか。わざわざ改装までして取り組む意欲と資金があるだろうか。
心理のバリア
農家・漁家の人たちは、歓迎していないのではないか。自分たちの農山漁村が広い意味での観光の対象になるとはそもそも考えていない上、繁忙期に来られても迷惑であるし、農地に立ち入られたり、農作物・家畜に無神経に触られるのを嫌がるのではないか。生活の場を見せるという発想や、それが美しいという価値観がない。
資源力のバリア
農村景観は心癒されるほど美しいとは言えないのではないか。(コンクリート構造物や電線ばかりが目に付いて美しくない。)
認識のバリア
生活上の利便性のレベルについて、都市住民の想定と農山漁村の実態とにおいてギャップがあるのではないか。
日本では旅行先では普段食べない豪華な食事をするものという観念が強い。このため、受け入れ側では最高のもてなしをしようと贅を尽くした食事を提供しようとするが、専業化されていないため無理があり、長続きしない。受け入れられる側も認識を変えていく必要がある。
需要サイドの問題
需要の確実性
利用が想定されている都市居住者は、長期休暇が取れた場合に、農山漁村で滞在・生活する気分になれるのか。例えば、英国においては社会的に一定の成功をおさめた人はリタイアして田園生活を過ごすのが社会的ステイタスの一つであるといわれる。これに対して、日本では都会に出て「一旗挙げる」のが成功の証とされてきた歴史がある。